トルプチェスキ、ペトレンコによるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番

ピアノはシモン・トルプチェスキ。管弦楽は、ワシリー・ペトレンコ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団。 2009年録音。 :::::::::: トルプチェスキは、軽いタッチで小気味よくキビキビと弾く。ピアノから引き出す響きは、色彩的できらびやか。 一音一音のニュアンスに気を遣っている。複数のフレーズを主従関係の中で整理するより、多彩に絡み合わせて、生気とか色彩感を存分に引き出す。 軽快で流暢だけど、呼吸感があって、気持ちよく入ってくる。 第一楽章のカデンツァあたりは、力押しではなく、畳み掛ける勢いとか、めまぐるしい変化で聴かせる。 :::::::::: トルプチェスキの芸風を満喫するなら、独奏曲の方がわかりやすいかも。 この曲は協奏曲としては管弦楽が厚めで、録音はピアノとオーケストラの全体の響きを重視するような録り方なので、この音源ではじめてトルプチェスキを聴くのは微妙かもしれない。 :::::::::: 管弦楽について技術面での不満はないけれど、響きがモッサリしている。響きの豊かな録音があいまって、独奏を覆ってくすませている。 聴く限り、オーケストラはそんなに大きな音を出しているように聴こえないので、録音の質とかホールの音響特性がこちらの好みと違うのかも。 この曲の音源を聴くときは、管弦楽に不満を感じることが多い。