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シャハム、アバドによるブラームスのヴァイオリン協奏曲

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ギル・シャハムのヴァイオリン独奏、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。 2000年ライブ録音。 シャハム29歳、アバド65歳の録音。若手俊英と巨匠指揮者の共演という図式。 2人の偉才と、名門オーケストラの組み合わせというで、演奏の品質は、予想通り高い。 そして、シャハムとアバドの方向性は、だいたい一致しているように聴こえる。 技術的にも、音楽としても、クォリティの高い演奏で、後は好き嫌いを語るしかなさそう。 :::::::::: シャハムのヴァイオリンは、伸びやかかつ艶やか。 線はスッキリとして、スムーズに流れるので、粘っこさは感じないけれど、聴かせる場面ではテンポを落として歌い上げる。 繊細な表現が随所に聴かれるけれど、神経質さや線の細さは感じない。屈託なくヴァイオリンの魅力を振りまく。 厳しさとか激しさの表現は控えめというか、良くも悪くも、力みを感じさせない。あくまでも、伸び伸びとした明朗さの範囲の中で、表情が形作られている。 明朗な方向性でのこの協奏曲の演奏をいくつか聴いてきたけれど、中でもすんなりと楽しめた。 技術的には高度だけど、やっている音楽そのものはシンプルで親しみやすい。楽曲への共感の形が素直。 :::::::::: アバドの管弦楽は、シャハムにとって、おそらく理想的。 明るくて流麗な音楽の作り方が、シャハムのやり方と一致している。 ホールの音響特性ゆえか、豊かに広がるサウンドだけど、管弦楽そのものは引き締まっていて、ヴァイオリン独奏と親密なアンサンブルをやっている。 というか、ホールのファットな音響特性が、管弦楽をやや邪魔しているように聴こえる。 陰影のような感触は皆無で、こういう味付けで、ブラームスの交響曲を聴きたいとは思わないけれど・・・

クライバーによるビゼー歌劇『カルメン』

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1978年のライブ映像。 カルロス・クライバー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、エレーナ・オブラスツォワ、プラシド・ドミンゴ他。 オペラを映像で楽しむことは、滅多にない。手持ちのメディアもほとんどない。 そもそも、歌詞の内容とか斟酌しないで聴いている。 まともにオペラを楽しめる目や耳を持っていない。そういう前提の記事。 :::::::::: カルロス・クライバーが、何回くらい『カルメン』を指揮したかは知らないけれど、クライバーの『カルメン』と言うと、この音源になるようだ。 非凡な指揮ぶりで、この曲の好きな演奏の一つではあるけれど、カルロス・クライバーの本領発揮とは感じられない。 いや、本領は発揮しているのかもしれないけれど、全体的に流しながら、要所要所を締めていく、というやり方。 こういうモードの演奏としては、出来は悪くないけれど、やはり、クライバーこだわりのカルメンも聴いてみたい。 :::::::::: 録音のせいなのか、オーケストラのサウンドもいまいち。鮮明さとかは問題ないけれど、低い音がどうも鈍い。 歌唱を聴く分には問題ないけれど、クライバーの音楽を楽しもうとすると、物足りない。 状態の良い映像・音源が残っているだけでも、喜ばしくはあるけれど。 :::::::::: 歌手では、ドミンゴが、声だけでも映像込みでも絵になる、稀有の存在であることを確認。