ツァハリアスによる、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番

クリスティアン・ツァハリアスのピアノと指揮で、バックはローザンヌ室内管弦楽団。 2008年のセッション録音。 ツァハリアスは、1980年代に、いろんな指揮者との組み合わせで、全集を完成している。 ちなみに、23番はデイヴィッド・ジンマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンとの組み合わせ。 未聴だけど。 ツァハリアスは、1950年生まれのドイツ人ピアニスト。すでに旧EMIにかなりの量の録音をしているけれど、聴くのはこれが初めて。 :::::::::: この曲の聴き所はいろいろあるけれど、演奏の好悪を左右するのは第2楽章。しみるような旋律美を持つシンプルな音楽だけど、こういう音楽の方が、演奏者と聴き手との相性が出やすい。 そして、個人的には、しっくりくる演奏に出会うのは、意外と難しい。 この録音は、気持ちよく浸れるものの一つ。 :::::::::: ピアノも管弦楽も繊細指向。弱音が数段階に使い分けられている感じ。 それでいて華奢にならずこじんまりしないのは、折り目正しく彫りの深い造形の賜物。 渋めの音色ながら、音の粒立ちは良好で、生き生きとしながら、格調を兼ね備えている。 そして、ピアノ独奏と管弦楽の一体感。 弾き振りだからと言うにとどまらず、オーケストラが良くコントロールされている。ピアノの念の入った弱音捌きに、オーケストラが的確に呼応している。 もちろんピアノが主役だけど、端正しなやかな弦のフレージングとか、管弦楽にも聴かせるところがあって、満足感は大きい。 ピアノとオーケストラの音量バランスもしっくりくる。