ルイージによる、シュトラウスのアルプス交響曲

ルイージは1959年イタリア出身の指揮者。
個人的に、イタリア人指揮者の独墺系音楽の演奏は、何かしらの違和感を感じることが多い。
ルイージは、数少ない例外。汎ヨーロッパ的な持ち味だと思う。
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パワフルで華やかなアルプス交響曲を期待する人だと、この演奏に裏切られるかもしれない。
ルイージのアプローチは、広々とした演奏空間の中で、楽曲オーケストレーションを、明晰かつ流麗に繰り広げることに重きを置いている。
音量そのものに圧倒されるのは、頂点での一撃くらい。
独墺系によくある重層的な響きの作り方とは違うけれど、フレーズの線を明確にしながら、それぞれの遠近感をきめ細やかにコントロールしている。
気持ちの良い見通しの良さと、シュトラウスらしい多彩さや奥行感が、見事に調和している。
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オーケストラの統率も抜群。巧拙を云々する次元を超えて、美意識を感じさせるアンサンブルになっている。オーケストラ固有のトーンとか機動性が、ロスなく音楽的な官能につながっている。
上手い演奏なら他にもあるけれど、これは一段上にあるようだ。指揮者のセンスの良さと統率力の高さに感心するばかり。
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