カルミニョーラ、アバドによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番

2007年のセッション録音。
カルミニョーラは、1997年に協奏曲の全集を録音している。これは、たぶん2度目の全集。
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、ほとんど聴かないので、こだわりは乏しい。
何番の協奏曲でも、似たような感想になりそうなのだけど、比較的馴染んでいる4番の感想を書く。
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カルミニョーラの独奏は、快速で、しなやかで、鋭敏。
無機的な感触はまったくないけれど、優美だとか香り立つみたいな感覚的な心地よさは乏しい。
細やかに表情が織り込まれているようだけど、軽やかに流れていく感じ。
以前からこの曲になじんできた人の耳には新鮮に響くのかもしれない。
しかし、わたしのような不慣れな聴き手にとって、各協奏曲のテイストの違いを感得しやすい演奏ではないかも。
ただ、これらの楽曲を、思い入れたっぷりにやられても、それはそれで閉口してしまいそうなので、曲に慣れてくると、こういう方が聴きやすい。
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アバドとモーツァルト管弦楽団の伴奏は、ピリオド奏法を取り入れており、引き締まってきびきびとしている。
編成の大きなオーケストラを指揮しているときとは別人のようだけど、密度と張りのある響きは、この指揮者らしい。
独奏を邪魔することはないし、作為性は無いけれど、自己主張は強い。
そして、カルミニョーラの独奏と対比すると、けっこうゴツク聴こえる。ソリストと指揮者で、見ている方向が異なっているような違和感が付きまとう。
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