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Audiophile Linux v4を試す

Audiophile Linux V4.0 KLUE3.0との相性(?)が今一つで、音楽再生用をクビになったThinkPad T530だが、放置しておくのはもったいないので、別の音楽専用Linux OSを入れてみた。 KLUEやKonaLinuxで苦しめられた、高音の特定の帯域がきつくなる現象が、パソコン固有の問題なのか、あるいはOSとの組み合わせで解消できるものなのか、探りたくなった。 Audiophile Linuxは、古いバージョンはLinux Mintをベースにしていたらしいが、最新版はArch Linuxをベースにしている。 Arch Linuxというのが、心理的な障害になっていたが、この機会に試すことにした。 ちなみに、最新版のAudiophile Linux V4.0は、2017年4月のリリース。少し古い。 クリーンインストールは意外とスムーズだったけど・・・ インストール方法は、 公式サイト に具体的に説明されている。 英語だが、入力例が段階的に記載されているので、その割に分かりやすい。 とは言え、インストールはGUIではなく、ひたすらコマンド入力。敷居は高いが、音質への期待は高まる。 GRUBの設定で1回しくじったけれど、2周目でISOイメージのインストールは終了。 ここまでは想定よりスムーズだったけど、ここからハマった。 クリーンインストールした後、ネットにつないで、システムを更新する。 WIFIの設定に不安はあったが、サイトの説明通りにやると、あっけなくつながった。 しかし、その後の更新が上手くいかない。  困り果てて、Audiophile Linuxのサイトの、コメント欄に目を通すと、詳しい人が、更新でのトラブル回避方法を書き込んでいた。 そこで、書き込みに従ってやり直したが、重要なサーバーの一つに接続できないというエラーメッセージを、嫌と言うほど吐き出して終わり。 結局、最新版としてのインストールをあきらめた。 それでも、どんな音かを確かめたいので(というより、それが主たる目的)、ISOイメージを再度インストールして、初期状態のままで音楽を再生した。 設定はもっぱらコマンドだけど、CantataとかMPDがプレインストールされているので、音楽再生はGUIが使える。...

カイルベルトによるブルックナー交響曲第6番

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好感度 ■■■ ■ ■ ヨーゼフ・カイルベルト指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。 1963年のセッション録音。 カイルベルト(1908 - 1968年)はドイツの指揮者。 録音当時は50代半ば。 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の運営にかかわったことはないようだけど、セッション録音はいくつか残っている。 :::::::::: 速くも遅くもない安定した足取りの上で、各パートをくっきり表出させながら、バランスよく全体の響きをまとめていく。 最近ありがちな音響美を優先したアプローチではなく、楽曲の書法を読み込んで、荒々しい場面は荒々しく、優美な場面は優美に、というように素朴できっちりとした仕事。 場面ごとの味わいを丁寧に表出しながらも、そこには節度があって、テクスチュアは常に明解。 重厚ではないが、各パートの線の動きには芯があって、押し出しが強いサウンド。そのかわり、響きの色彩感は乏しい。 :::::::::: 大げさな身振りはないけれど、場面に合わせてテンポとか、歌いまわしとか、リズムの刻みとかが的確に切り替えられていく。 最高レベルに明解で的確な演奏ぶりだけど、それだけではない。 第二楽章あたりは、表現力の豊かさと、オーケストラをコントロールする手腕に感銘させられる。雄弁で彫りの深い表現に引き込みまれる。 この指揮者の力量が、どれほどの高みにあったかを、思い知らされる。 ただ、芸達者さとか、色気みたいなものは感じられない。 音楽に対して生真面目で、質実剛健。

ザンデルリンクによるブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」(1994ライブ録音)

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好感度 ■■ ■■■ クルト・ザンデルリンク指揮バイエルン放送交響楽団。1994年のライブ録音。 ザンデルリンク(1912~2011年)はドイツの指揮者。 ザンデルリンクによるこの交響曲の正規の音源は、これだけかもしれない。海賊盤は複数あるようだ。 バイエルン放送交響楽団の運営にかかわる立場にいたことはないようだけど、レコーディングの点数は多く、それなりに気心の知れた関係だったと思われる。 :::::::::: よく言えば、巨匠風の、肩の力が抜けた演奏。枯れてはいないけれど、かと言って、聴いていて身が引き締まるような場面はない。 テンポの変動幅はそこそこ大きい。ただ、速くなることはない。標準~遅いの範囲で、自在に切り替わる。テンポの動かし方は自然で違和感はない。 そして、緩やかな場面では、ニュアンス豊かな歌い回しが披露される。 ただ、ザンデルリンクの姿勢に、陶酔とか没入のようなものは感じられない。作品の解釈として、あるいは演出として、着実にさばいている感じ。 練られた表現に感心するけれど、引き込まれるほどではない。 表現者というよりは、オーケストラをコントロールする一流職人の仕事ぶり。 :::::::::: バイエルン放送交響楽団だけに、アンサンブルのレベルは高いけれど、サウンドの質感は武骨。 塊としての厚みを効かせつつ、個々のパートの表現を埋没させない、という点は徹底している。 いかに美しく響かせるかという視点ではなく、楽曲の書法を着実に音に置き換えることを優先していて、このあたりは昔かたぎな感じだろうか。