ザンデルリンクによるブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」(1994ライブ録音)


好感度 ■■■■■

クルト・ザンデルリンク指揮バイエルン放送交響楽団。1994年のライブ録音。

ザンデルリンク(1912~2011年)はドイツの指揮者。

ザンデルリンクによるこの交響曲の正規の音源は、これだけかもしれない。海賊盤は複数あるようだ。

バイエルン放送交響楽団の運営にかかわる立場にいたことはないようだけど、レコーディングの点数は多く、それなりに気心の知れた関係だったと思われる。

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よく言えば、巨匠風の、肩の力が抜けた演奏。枯れてはいないけれど、かと言って、聴いていて身が引き締まるような場面はない。

テンポの変動幅はそこそこ大きい。ただ、速くなることはない。標準~遅いの範囲で、自在に切り替わる。テンポの動かし方は自然で違和感はない。

そして、緩やかな場面では、ニュアンス豊かな歌い回しが披露される。
ただ、ザンデルリンクの姿勢に、陶酔とか没入のようなものは感じられない。作品の解釈として、あるいは演出として、着実にさばいている感じ。
練られた表現に感心するけれど、引き込まれるほどではない。

表現者というよりは、オーケストラをコントロールする一流職人の仕事ぶり。

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バイエルン放送交響楽団だけに、アンサンブルのレベルは高いけれど、サウンドの質感は武骨。

塊としての厚みを効かせつつ、個々のパートの表現を埋没させない、という点は徹底している。
いかに美しく響かせるかという視点ではなく、楽曲の書法を着実に音に置き換えることを優先していて、このあたりは昔かたぎな感じだろうか。

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