カイルベルトによるブルックナー交響曲第6番


好感度 ■■■

ヨーゼフ・カイルベルト指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。
1963年のセッション録音。

カイルベルト(1908 - 1968年)はドイツの指揮者。
録音当時は50代半ば。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の運営にかかわったことはないようだけど、セッション録音はいくつか残っている。

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速くも遅くもない安定した足取りの上で、各パートをくっきり表出させながら、バランスよく全体の響きをまとめていく。

最近ありがちな音響美を優先したアプローチではなく、楽曲の書法を読み込んで、荒々しい場面は荒々しく、優美な場面は優美に、というように素朴できっちりとした仕事。

場面ごとの味わいを丁寧に表出しながらも、そこには節度があって、テクスチュアは常に明解。
重厚ではないが、各パートの線の動きには芯があって、押し出しが強いサウンド。そのかわり、響きの色彩感は乏しい。

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大げさな身振りはないけれど、場面に合わせてテンポとか、歌いまわしとか、リズムの刻みとかが的確に切り替えられていく。

最高レベルに明解で的確な演奏ぶりだけど、それだけではない。

第二楽章あたりは、表現力の豊かさと、オーケストラをコントロールする手腕に感銘させられる。雄弁で彫りの深い表現に引き込みまれる。
この指揮者の力量が、どれほどの高みにあったかを、思い知らされる。

ただ、芸達者さとか、色気みたいなものは感じられない。
音楽に対して生真面目で、質実剛健。

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