ギーレンによるブラームスの交響曲第2番

2005年のセッション録音。
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柔軟性のあるフレージングに、自然な推移。ブラームスの重層的な響きを明晰に、しかし慈しむように丁寧に聴かせてくれる。
サウンドの透明度が高く、粘らないので、感触自体はあっさり風味。
この交響曲は、ブラームスの4つの交響曲の中では明朗な方だけど、前半の2楽章には憂愁がそれなりに濃く漂う。
ギーレンは、音楽の息遣いをしっかりと表現しつつ、気分的な要素は漂白している。
おかげで、陰影みたいなものは乏しいけれど、その分聴き疲れはしない。繰り返し聴くための音源としてはなすかなかの佳演。
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アンサンブルを解きほぐしてしまうのではなくて、響きの重層感を保ったうえで、明晰に聴かせようとしている。
そのあたりは、ラテン系指揮者たちの明晰さとは質が違っている。
オーケストラは、ギーレンの要求に応えて、質のそろったサウンドを生み出しているけれど、洗練度はほどほど。指揮者の方向性を納得させるくらいの力量はあるけれど、鮮度はいまいちか。
第四楽章にあたりでは、明晰さを保ちつつ湧き上がる、みたいにはいかない。指揮者の統率力のせいか、オーケストラの機動力の機動力の限界かは判断できない。
ただ、こういう素朴な味を程よく感じる余地はあると思う。
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