ハーゲン四重奏団とコセによるブラームスの弦楽五重奏曲第2番

好感度 ■■■■■
ハーゲン四重奏団にヴィオラ奏者のコセが加わった編成。1996年のセッション録音。
ブラームス弦楽五重奏曲第2番は、第一楽章が絶品。ブラームスらしからぬ明朗で華やかな主題が効果的。
そして、展開部は素晴らしい。手堅い作法だけど、彼が書いた展開部で、ここまで効果的なのは、滅多にないと思う。
それに比べると、第ニ楽章以降は、ブラームスとしては順当な出来栄えにとどまる。
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5つのパートを一体として響かせるのではなく、一つ一つのパートの線を浮き立たせたままで、各パートの線の絡み合いの中で、音楽の流れを生み出していく。
この曲のとりわけ第一楽章は、室内オーケストラを彷彿とさせる豊かな音響も可能だけど、この演奏は怜悧で研ぎ澄まされた質感が一貫している。
個々の奏者の歌い回しはしなやかで、曲想に合っている気がする。ただし、個々の線を際立たせているために、ハモリによる響きの多彩さは乏しい。
そのかわり、精緻で細やかな美しさと、クールで洗練された響きが印象的。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲でも近い印象を受けたから、これがこのグループの演奏スタイルなのだろう。
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ブラームスの音楽は、趣味が野暮ったいので垢抜けなく響きがちだけど、その書法自体は練度が高い。
このグループは、洗練された手つきでそのあたりを実感させてくれる。
ただ、聴いていて、この曲自体はもっとのどかで素朴で伸びやかな音楽として構想されたのだろうなぁ、という思いが頭をもたげてくる。
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