グリモーによる、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番

2000~2001年のセッション録音。
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ゆとりのあるテンポを背景に、ニュアンスたっぷりのフレージングを聴かせる。
天性を感じさせる自在の息遣いだけど、集中と弛緩の落差はあんまりなくて、ドラマティックではない。
また、録音の味付けなのか、ペダルを多用しているのか、ふくよかな響きが一貫していて、その分陰影は乏しい。
よく言えば上品で明朗だけど、彫は浅い。表情豊かだけど、こちらを揺さぶるようなシリアスな強さを感じにくい。
曲によっては、物足りなくなりそうなテイストの演奏だけど、この協奏曲には合っていると思う。
個人的には、第二楽章を中心に、穏やかにロマンティックな心地よさが印象的。
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ラフマニノフの伴奏で、管弦楽を評価する耳を持ち合わせていない。特に、こういう響きがたっぷりめの録音では。
それが前提だけど、アシュケナージの伴奏は、ピアノ独奏にジェントルに寄り添う感じ。
ラフマニノフの伴奏では、厚ぼったい管弦楽が、とかくピアノの細かな表情を塗りつぶしがち。それらと比べて、ここでのアシュケナージは、程良く自制できていて好感。
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