グリュミオーによる、ブラームスのヴァイオリン協奏曲(1958年)

ヴァイオリンはアルテュール・グリュミオー。
伴奏はエドゥアルド・ヴァン・ベイヌム指揮のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団。

1958年のセッション録音。グリュミオーが30代後半のときの録音。

ベイヌムは、1945年から同オケの音楽監督だったが、この録音の翌年に急逝した。

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グリュミオーは、フレーズの線を端正に浮かび上がらせつつ、流暢に歌わせる。響きの濃淡は控えめなので、品良く聴こえる。
それでも、緊張感は一貫していて、曲にふさわしい強さも備えている。

端正な美音系のヴァイオリンで、線は太くないけれど音はよく通る。
第三楽章は、より奔放な表現がふさわしいと感じるけれど、先立つ2つの楽章は歌心に魅了される。

ダイナミズムは控えめなので、さらに上を行く演奏が他にありそうな気がする。でも、他と聴き比べると、意外とこっちのほうがしっくりくる。

この曲の叙情的な側面を、肩肘張らないで、等身大で聴かせてくれる感じ。

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ベイヌムは、伴奏に徹している。節度があって、演奏のやり方によっては交響曲っぽく響きかねないこの曲を、協奏曲らしく聴かせる。

サウンドは心持ちふくよかだけど、アンサンブルは引き締まっていて機敏。出すぎず、隙無く独奏につけている。
艶っぽさとか面白味のある音楽ではないけれど、美音&端正なグリュミオーとの組み合わせは好感触。

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