セトラクの、ショパンのピアノ協奏曲第1番(タウジヒ編曲)

1987年のセッション録音。

ピアノ独奏は、トルコ出身で、フランスで活動していたらしいピアニストのセトラク(1931 - 2006)。
ご覧のように、CDには、SETRAKと素っ気なく表記されているだけ。

管弦楽はヴォイチェフ・ライスキ指揮 バルト・フィルハーモニー交響楽団。
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ここで演奏されているのは、ショパンの楽曲を、タウジヒが編曲した版。
おそらく、この音源の最大のセールスポイントは、タウジヒ版を聴けるところにあるのだろう。

ただ、わたしにとっては、この音源の最大の魅力はセトラクの演奏で、最大の欠点はタウジヒの編曲。

タウジヒの編曲は、わたしの耳にはヘンテコに響くのだけど、それは原曲に耳が慣れているせいかもしれない。
というか、仮にショパンの管弦楽が下手だとしても、こっちはそれに慣れてしまっているから、今さら編曲などおせっかいでしかない。
まあ、19世紀に生きていた人に文句を言っても仕方がないわけだけど。

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ゆったりしたテンポ、深い呼吸、ルバートを多用しながら、ロマンティックに歌い上げていく。

音の粒立ちが良くて、一音一音が磨かれている。歯切れがよいから、粘っこくは感じない。

キレとかダイナミズムはあるけれど、畳み掛けるような技ではない。

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とりあえず、叙情的なフレーズを歌い上げるときの深い息遣いとか、一音一音をきらめかせながら、されらをスムーズに束ねるセンスとかが、かなり好み。音楽を息づかせるやり方が抜群にうまい。

この曲の第一楽章は、聴いていて中だるみを覚えることが多い。この音源のような、じっくり型のアプローチは特に危険なはずだけど、セトラクの彫り深い表現に聴き入ってしまう。

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ニュアンスたっぷりに歌い上げるけれど、クリアな響きのせいか、ウェットさとか、粘り気は感じられない。

そのせいか、この曲に込められているとされる、故郷への惜別の思い、みたいな鬱系の味わいは乏しい。
むしろ、屈託なく曲の美しさに浸る感じ。

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第3楽章になっても、じっくりペースは変わらない。ズーッとこのペースなので、少し飽きる。

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