ヌヴーによる、シベリウスのヴァイオリン協奏曲

ジネット・ヌヴーのヴァイオリン独奏。管弦楽は、ワルター・ジュスキント指揮のフィルハーモニア管弦楽団。
EMIへのセッション録音(1946年)の焼き直し。

とりあえず、録音の良さに驚く。さすがにオーケストラの響きは貧相だけど、ヴァイオリン・ソロだけなら、古い録音のハイディキャップをあまり感じない。

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テンポは遅め。一歩一歩表現を確かめるような足取り。

前提となっている作品観は濃くて情熱的だけど、演奏自体はじっくりと丁寧。
結果として、熱気にあおられるような場面は乏しい。作品をじっくり味わう系の演奏。

響きの濃淡や厚みの変化を際立たせて、雄弁に歌わせている。この濃さや粘りをシベリウスらしく感じるかは、聴き手との相性になるかも。

こういうやり方なので、第三楽章は湧き立たない。

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管弦楽は、フレーズの折り目をきちんとして、各パートを明解に聴かせるアプローチ。パート間のバランスを細かくコントロールしながら、ニュアンスの変化を丁寧に表出している。
ゆっくりめのペースにも間延びしない。

盛り上がる場面でも、激しい高まりや音の大きさより、明解なアンサンブルを優先する。おかげで、ソリストを邪魔することは、一切ない。

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ちなみに、ジャケ写を見ると、ヌヴーとバルビローリの共演盤のようだが、収録音源に共演はない。両者のシベリウスの演奏が別々に収録されている。

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