ハインリヒ・シフによるバッハの無伴奏チェロ組曲

好感度 ■■■■■
1984年のセッション録音。
ハインリヒ・シフは、1951年オーストリア出身。2016年に亡くなった。
チェロ奏者としての他に、指揮者としても活動していたらしい。
この音源は、シフが30代前半頃の録音。
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とりあえず、演奏技術が高い。速めのキビキビとした足取りでありながら、力強さも併せ持ち、腰の強い表現。
演奏技術を前面に出しているわけではなく、簡潔ながら、曲の息遣いや細かなニュアンスを抜かり無くすくい上げている。
表現としては引き締まっているけれど、響きはほどほどにコクとか厚みがある。このあたりも程よいバランス。
全体としては、楽曲の持ち味を率直に端的に聴かせる好演。聴手の好みとか作品観との兼ね合いは別にして、とてもクォリティが高い。
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もっとじっくりと巧妙に表現することで、この組曲集は、より奥行きのある表情を帯びる。
その意味で、この音源に楽曲のポテンシャルが洗いざらい現れているとは思わない。
とは言え、ここで聴かれる、強靭な演奏技術に裏付けられた活気には、これはこれで高い価値がある。
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