サロネンによるベートーヴェン交響曲第7番

好感度 ■■■■■
オンライン販売限定の“DG CONCERTS”シリーズの音源。
エサ=ペッカ・サロネン指揮、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。
2006年頃のライブ録音。
サロネンは、1992-2009年にかけて、同オーケストラの音楽監督を務めた。
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造形は整っているけれど、アンサンブルは覇気があってエネルギッシュ。
金管をバリバリ鳴らすような盛り上げ方ではなく、怜悧な質感のヴァイオリンが主導しながら、バイタリティとか瞬発力でもって、高揚を生み出している。
弦を主体とした厚みのある音響は手堅いけれど、サウンドのクールな質感とか高音の煌めきはこの指揮者特有の味。
オーケストラの持ち味が相まって、華やかな印象だけど、練られた演奏スタイル。
アンサンブルの精度はそれなりに高そうだけど、それぞれのパートの響きが被り合うので、細やかに粒立つような精密さはない。そういう種類の凄みはない。
とは言え、ディテールの表情を楽しむことはできる。
結果的には、細部の彫琢と全体としての厚みとが程よくバランスしている。
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特に終楽章の盛り上げはアッパレと感じる。オーケストラの機動力とか瞬発力を存分に引き出して、爽快に畳み掛ける。カッコよいし、見事な統率力。
弦とかディンパニの際立たせ方など解釈上の工夫も効果を発揮しているけれど、鍛えられたアンサンブルがベースにあるので、確かな手応えがある。
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