ズスケ四重奏団によるベートーヴェン弦楽四重奏曲第15番

1977年のセッション録音。1967~1980年に録音された全集から。

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このグループは、活動途中で名称を変更したため、まぎらわしい。

結成は1965年で、カール・ズスケを中心に、ベルリン国立歌劇場管弦楽団の首席奏者たちが、ズスケ四重奏団(Suske Quartett)を立ち上げたようだ。

その後、いつの頃からか和名は「ベルリン弦楽四重奏団」と変更されたようだが、その時期のジャケットには「Suske-Quartett  Berlin」と印字されている。つまり、ズスケ(Suske)の文字は残っている。

画像のジャケットはLPのもので(ちなみにLPは持っていない)、「Suske-Quartett 」と印字されている。
ということは、この録音時点=1977年には、まだ改称してなかったことになる。
結局、いつ改称したのだろう?


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音色は均質で無味。全員で軽く柔らかく弾いていて、ひたすら穏当に親密にアンサンブルが展開される。
各パートとのバランスはほぼ均等。いずれも線は細いが、クッキリと明晰。

足取りは安定していて、造形は整っている。揺れは少ない。そのせいか、ダイナミックさは皆無ながら、芯はしっかりしているように聴こえる。

持ち味を発揮して主張するより、(彼らにとって)不要なものをいっさい寄せ付けないことで独自性を醸成する、みたいなアプローチ。


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一般的な意味での雄弁な演奏ではないけれど、そのペースに馴染んでくると、場面に応じた多彩な表情が染みてくる。

聴いていて緊張感のようなものは伝わってこないけれど、4パートのコンビネーションは精妙で、個が主張することなく一体感が堅持されている。

カルテットとしての力量をアピールするようなケレンは一切なく、穏やかな物腰で、しかし一点の曖昧さもなくベートーヴェンの書法を提示する。

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