フルシャによるドヴォルザーク交響曲第8番(2018年)

ヤクブ・フルシャ指揮バンベルク交響楽団の演奏。
2018年の録音。

ヤクブ・フルシャは、1981年チェコ出身の指揮者。
2016年からバンベルク交響楽団の首席指揮者を務めている。


標準的〜余裕のあるテンポ設定で、安定感のある足どり。

場面場面の表情の作り方は、けっこう凝っている。わかりやすいところでは、第三楽章の主題を、1回目と2回目でニュアンスをあきらかに切り替えている。

ただ、場面に合わせて特定のパートを際立たせる、みたいなことはやらない。
常にアンサンブル全体を意識させながら、バランスの制御で表情を作っていく。
盛り上がる場面でも、サウンドイメージは鮮明で、よくコントロールされている。それでいて生気を感じさせる。

そのため、上に挙げたような細部での凝った演出はあるけれど、総合的には安定感の勝った、恰幅の良い仕上がりになっている。

この指揮者の基本的な能力の高さは十分に伝わるが、味わいみたいなものは薄まっている。
それは、この演奏の弱点ではないけれど、本場出身の若手指揮者ということで、思い入れの強い演奏を期待すると、裏切られそう。


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録音はそれなりに優秀だと思うけれど、量感豊かな録り方なので、再生装置との相性が強く出そう。

豊かさと細やかさの両方を再現できないと、サウンドが塊状になって、フルシャの演出がうまく伝わらなさそう。

高級オーディオ装置が必須というわけではないと思うけれど(ちなみに、わたしのは高級ではない)、低音の出方とかがある程度調教されていないと、冴えない鳴り方になりそう。

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