チェルカスキーによる、ショパン練習曲集

1955年のセッション録音(モノラル)。EMIへの録音と同一音源とのこと。
チェルカスキーは、1909年ウクライナ出身のユダヤ系アメリカ人。1995年に亡くなっている。
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チェルカスキーの音源を聴くのは初めてで、それが古いモノラル録音なので、これだけで判断するのは怖いけれど、小ぶりで流れの良い、おとなしめの演奏。
終始軽めのタッチで、音量の変化の幅は控えめ。もっぱら、メインのフレーズとサブのフレーズとの親密な掛け合いで聴かせる。
技巧性を前に出さず、各曲の味わいを手堅く聴かせる。良くも悪くも手慣れたような表現で、この曲集をフツーの小曲集という体で聴かせる。
ただし、マッタリと緩く演奏しているわけではない。指の回りの鈍さを味付けでごまかす、というのでもない。テンポよく、起伏もある。汗ばむことも、息を乱すこともなく、落ち着きと軽味が一貫している。
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ショパン弾きでも、練習曲集を録音していない人は何人もいる。演奏の難しさの点で、特別な位置を占める曲集。
そういうこちらの先入観を透かすような自然体風のテイスト。
古いモノラル録音であることを含め考えると、どうしてもこの音源を聴きたい、というほどの強烈な吸引力はないかもしれない・・・
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