バレンボイムによるブラームスのピアノ協奏曲第1番(2014)

録音当時、バレンボイムは71歳。指揮者としてはともかく、ピアニストとしては、衰えがでそうな年齢。
老巨匠の枯れた味わいには興味がないけれど、当時33歳のドュダメルとの協演に興味を感じて聴いてみた。
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バレンボイムのピアノは、ゆったりとして、軽い打鍵で、キレは無いけれど、タッチの使い分けは丁寧で適確。細やかにニュアンスを描き分けている。
練れた、円熟した演奏だけど、良くも悪くも手慣れた感じが濃すぎて、ひたむきさは感じられない。むしろ、余裕があり過ぎて、小手先の芸と感じられる場面もある。
ピアニストとしてのバレンボイムが健在であることは、この演奏を通して確認できるけれど、それ以上の何かが、この演奏にあるかというと・・・
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ドュダメルの指揮ぶりは、バレンボイムに合わせているような印象。
相手のバレンボイムは巨匠だし、オーケストラの総監督でもあるわけで、外様であるドュダメルの立場でそうなるのは、しかたがないのかも。
いずれにしても、巨匠と若手が火花を散らす的なノリとは正反対の、円満な演奏。
第一楽章の冒頭も、激しさや重厚感は控えめ。落ち着いていて、丁寧なアンサンブル。
ピアノ独奏のサポートに徹しつつ、洗練されたオーケストラのさばきを聴かせる。
彼としてはやるべき仕事をきっちりこなしているけど、有能な若手の音楽性を楽しむ、みたいな体験にはならなかった。
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