プレートルによるサン=サーンス交響曲第3番『オルガン付』(1963)
ジョルジュ・プレートル指揮パリ音楽院管弦楽団。1963年のセッション録音。
ちなみに、オルガンを演奏しているのは、作曲家としても知られるモーリス・デュリュフレ。
なお、プレートルは、1990年に、ウィーン交響楽団と再録音している。
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雄渾でドラマティックな表現。
単に激しい演奏というのではなく、音による戦記の一大絵巻みたいなノリで、骨太に音楽をうねらせる。演奏空間に音響が充満し波打つ。
そして、オーケストラがパリ音楽院管弦楽団だけに、華やかで開放的な響きが一貫している。技術的な巧拙とは別次元の、雄弁さを感じる。
盛り上がる場面での、力強くも柔軟な金管セクションの表現力は聞き物。また、穏やかな場面での、ブレンドされた美しいアンサンブルも印象的。
録音も、ホール全体の響きを捉えている。ただし、録音に関しては、成功していないようだ。サウンドの混濁感が強すぎる。
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場面場面で、前に出す音、ひっこめる音のメリハリがはっきりしていて、痛快なくらい思い切りがいい。
アンサンブルの精度より、動的な息遣いを重視する流儀。荒っぽく聴こえるけれど、要所要所は押さえられているので、繰り返し楽しめる。
探さなくてもいくつも粗は見つかるけれど、他の音源では味わえない魅力や面白さが複数あって、外せない音源。パリ音楽院管弦楽団の実力を偲ぶ記録としての価値もある。
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