小澤によるマーラー交響曲第8番


好感度 ■■■■■

小澤征爾指揮、ボストン交響楽団。
1980年のセッション録音。

1973年から2002年にかけてボストン交響楽団の音楽監督を務めた。

小澤は1980~1993年にかけて、マーラーの交響曲全集を録音している。
この音源はその第一弾だが、もともとはボストン交響楽団創立100周年の記念として、単発で制作された音源とのこと。

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この当時、小澤は40代半ばだけど、血気に逸ることなく、大人数を安定してコントロールしながら、己の美意識を隅々まで行き渡らせている。豊かで清潔な質感。

落ち着きのある足取りに、構えの大きな造形。盛り上がる場面でも、荒ぶることなく、冷静沈着。
たとえば、終盤の山場でも、ティンパニの連打に圧力を感じないし、全奏の当たりはソフト。

見事な手綱さばきに感心しつつ、もう少し攻めて欲しい気持ちも抑えられない。

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癖を感じさせない滑らかなフレージング。流暢であるかわりに、表情の彫は浅く、陰影に乏しい。
表面的な演奏ではないけれど、慎みとして楽想に深く立ち入らない感じがある。一人の日本人として、楽曲との距離の置き方に何となく共感するけれど、もどかしくもある。抑制的というか淡彩。

そのせいか、長大な第二部は、いささか変化の乏しさを感じる。楽曲自体にそういう面があるけれど。

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