ツィンマーマンによるブラームスのヴァイオリン協奏曲

1995年のライブ録音。
フランク・ペーター・ツィンマーマンを聴くのは初めて。
サヴァリッシュとベルリン・フィルとの組み合わせは珍しいようだ。個人的に、1970年後半以降のこの指揮者に共感を持てないのだけど、実力は否定できない。
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ツィマーマンのヴァイオリンは、線が細くて、端正で繊細感が強い。響きは、一貫して、湿度と透明感が程よくバランスしている。上品な味付け。
耳をそばだてると、吟味しつくされたような練れた表現が聴こえてくるけれど、全体的に押しが弱いので、漫然と聴いてしまうと、何気なく流れていく感じ。
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これで管弦楽がゴリゴリだと、ツィマーマンの持ち味が台無しになってしまうけれど、そこはサヴァリッシュなので心配無用。
程々の恰幅はあるけれど、締りのあるサウンドと柔軟なアンサンブルで、ヴァイオリン・ソロにピッタリとつけている。
管弦楽の方も、強く訴求してくる質の音楽ではないけれど、上質感が高い。ヴァイオリン・ソロと方向性が近いので、しっくりしている。
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そんな中、キビキビとした第三楽章は、ベルリン・フィルの機動力が際立つ。
独奏を押し潰すようなマネはしていないけれど、ここでも大人しめのヴァイオリン・ソロよりも、オーケストラの小気味良い機動性の方が、感覚的に気持ち良い。
個人的には、この点がもっとも聴きどころだったような・・・
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