シェリングによるシベリウスのヴァイオリン協奏曲

ヴァイオリン独奏はヘンリック・シェリング。管弦楽はゲンナジ・ロジェストヴェンスキー指揮のロンドン交響楽団。
シェリングを、そんなによく聴いているわけではないけれど、漠としたイメージはあって、そのイメージからして楽曲との相性は気になった。
実際に聴いてみると、思っていた以上に、予感通りの演奏になっていた。ここまでくると、その演奏様式の揺ぎ無さに感心してしまうほど。
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フレーズの伸縮とか抑揚は乏しく、歌い回すような感覚はしない。淡々と端正に、一節一節のニュアンスを聴かせる。
曲想そのものは起伏に富んでいると思う。ロジェストヴェンスキーの指揮は、そういうのに反応しているけれど、シェリングは、ポーカーフェイスで自分のスタイルを貫く。
感情表現に対するこれほどの淡白さは、特異かも知れない。単純に理知的と片づけられないレベル。
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ロジェストヴェンスキーは、盛り上がる場面で少々荒々しい響きを作ったりする。そういうところから、指揮者の方は、熱のこもった楽曲として作品をとらえているような印象。
伴奏として節度を保っているので、シェリングとの間にあからさまな齟齬を気取らせない。それでも、高揚する場面では、少し両者の温度差を意識させられる。
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