クナッパーツブッシュによるブルックナー交響曲第4番(1955)

1955年のセッション録音。良質なモノラル。
録音当時、クナッパーツブッシュは60代半ば過ぎ。
彼の同曲の録音は、他に1944年のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とのライブ録音、1964年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とのライブ録音があるようだ。
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ベースとなるテンポは、速くも遅くもなく、中庸に聴こえる。それを基調に、曲調に合わせて自在に動かされるけれど、振れ幅はほどほど。
個々の声部を浮き上がらせて、陰影濃く歌わせる。特に、弦の際立たせ方に、旨味を感じさせる。このオーケストラだから弦が良い、という以上のものを聴かせる。
他の演奏では何気なく通り過ぎる一節に、何度となくハッとさせられる。
盛り上がる場面でも、個々の声部の明瞭さは維持されていて、塊としてのサウンドのパワーで押すことはない。スケール感とか量感はごく標準的。
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作品書法の明瞭さは一貫して保たれているけれど、多数の声部が交錯するような賑やかな場面では、サウンドの質感は粗くなる。混濁はしないけれど、どこか雑然とした響き。特に、金管の野太さとか。
味はあるけれど、洗練度は低い、田舎料理のような演奏。
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