ティーレマンによるブラームス交響曲第3番

好感度 ■■

クリスティアン・ティーレマン指揮、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏。
2012年10月のライブ録音。

なお、2012〜2013年にかけて、交響曲全集を完成させている。

ティーレマンは2012年よりこのオーケストラの首席指揮者を務めている。

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名門シュターツカペレ・ドレスデンの演奏であることを考慮しても、艷やかに磨き上げられたサウンドは魅力的。毎度のことながら、サウンドへの鋭敏さと統率力は凄いものだ。

ティーレマンがサウンドの美しさを特に重視しているのはあきらかで、盛り上がる場面であっても、その純度は保たれている。妥協がない。

だからと言って、線の細い弱々しい表現ということではない。
オーケストラを煽って高ぶらせるようなマネはしないけれど、音量とか量感をコントロールして、大きさや力強さの演出も手抜かりはない。

圧倒的な高揚を期待すると、スカされることになるだろうが、ティーレマンとしては、やることをやりきっている。

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テンポの楽想に合わせて自在に変化する。
第一楽章の冒頭なら、一節一節のニュアンスの変化にもれなく反応している。

ただ、両端楽章は、入念な演奏として楽しめる範囲にとどまっている。
それに対して、中間の2つの楽章では、彼の癖が立ち込める。ときには、途切れる寸前くらいまでテンポを落として、繊細の限りを尽くす。

ここまでやられると、曲想の変化を捉えているというより、それを逸脱して己の趣味に走っている感が濃厚。好き嫌いは分かれそう。

ティーレマンその人の芸を堪能するために聴くには向いていかもだが、楽曲を味わうつもりで聴くと、かえって冷めてしまうかも?

もっとも、これだけの磨かれた響きをオーケストラから引き出せる人は、同じ時代にそう多くはいない。

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