ズヴェーデンによるブルックナー交響曲第6番

好感度 ■■■■■
ヤープ・ファン・ズヴェーデン指揮、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団。
2012年のセッション録音。
この指揮者は、2006~2013年にかけて、ブルックナーの交響曲全集を録音している。
ズヴェーデンは、1960年生まれのオランダ出身の指揮者。
2005~2012年の間、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めた。
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堂々とした足取り。
厚みのある低音をベースとしつつ、流暢で機能的なアンサンブルが繰り広げられる。
全体を包み込むような柔らかい低音だけ聴くと、素朴なタッチのブルックナーかと思わされるが、そんなことはない。
洗練された機能美を聴かせるアンサンブル。
特定のパートが露出することなく、マスゲーム的な整然とした秩序がある。
ただし、静的な表現ではなく、楽章のテイストの違いをハッキリと意識させる。
たとえば、第二楽章でじっくりと歌わせた後の、スリリングな第三楽章とか。
スリリングと言っても、安定した歩調を保ちつつ、キレのある表現で盛り上げる。
厚めのサウンドなので、見通しの良さを維持するために、テンポを煽る感じはない。
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個々のパートの表情とか、複数パートの掛け合いとかにハッとさせられることは少ない。
スムーズな機能美の副作用だろうか。
ただし、この交響曲の荒々しさや奔放さに抵抗のある人には、この整然としたタッチは好ましいかもしれない。
いずれにしても、指揮者はオーケストラを掌握して、望むイメージを高いレベルで具現化できている。
そういう意味での聴き応えはある。
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