ジャニーヌ・ヤンセンによるブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番

管弦楽は、リッカルド・シャイー指揮のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。
この曲は、ヴァイオリンのパートは聴き映えがするし、オーケストラのみの部分はかっこいい。
ただ、繰り返し聴くと、密度の薄さを感じさせられる。
とは言え、名だたるヴァイオリン奏者の多くが録音を残している名曲には違いない。
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ヤンセンの演奏は、技術的に優れていて、隅々までコントロールされていて、それでいて暑苦しくない程度に熱とか粘っこさがあって、とてもバランスが良い。
現代的なスタイリッシュさを持ちながら、音楽の流れにほどよい粘りがあるので、語り口めいたものを感じさせる。
演奏者の実力を誇示するだけでなく、ちゃんと楽曲の魅力も楽しめる。当たり前のようだけど、こういう演奏は、たぶんそんなに多いわけではない、と思う。
今のところ、そんなに身構えないでこの協奏曲を楽しみたいときに、手が伸びることの多い音源。
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シャイーのドイツ物は、交響曲あたりだとしっくりこないものは多いけれど、伴奏物はセンスの良さが光る。
音の出し方は軽くて、フレージングは柔軟。管弦楽全体としての豊かな響きと色づきの良さで楽しませる。洗練されていて、耳の触りは良いけれど、手ごたえみたいなものは乏しい。
いささか感覚的な心地よさに傾いているけれど、ヤンセンの伴奏としては、このあたりが程良いのかも。
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