ジャニーヌ・ヤンセンによるブラームスのヴァイオリン協奏曲


2015年の録音。伴奏はアントニオ・パッパーノ指揮サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団。

この音源に先立って鑑賞したブルッフのヴァイオリン協奏曲が好感触だったので、ブラームスも聴いてみた。
と言っても、2つの録音の間には9年もの隔たりがある。

演奏のやり方によっては(もちろんオケの協力が不可欠だけど)、大柄な交響曲風に響かせられる楽曲だけど、この演奏は、ヤンセンのヴァイオリンを軸に据えて、管弦楽は伴奏に徹している。まっとうな協奏曲としての響かせ方。

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ヴァイオリン独奏は、柔軟で繊細な表現が前に出ている。気合とか燃焼より、曲想を柔軟に、艶やかに、滑らかに歌い上げる。

優美で滑らかな方向性の中で、表現の彫はそれなりに深い。やっぱり"語り口"を感じさせる演奏家だ。

聴き手がこの曲に何を求めるかによっては、不満が出そうな演奏だけど、これはこれで一貫した作品観だし、彼女なりのやり方で曲の美質を聴かせていると思う。

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パッパーノらによる管弦楽は、響きの豊かさを保ちつつも、室内楽的な細やかさを聴かせる。

響きのボリューム感はコンパクト。基調は、乾いた感じのカラフルな色調。ヤンセンのソロとはいささか感触が異なるけれど、ヴァイオリン・ソロとの親和性は高い。

パッパーノという指揮者に詳しくないので、こういう持ち味なのか、打ち合わせてこのようにやっているのかはわからないけれど、見事な協調ぶり。


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