ヴェンゲーロフによるブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番

1993年の録音。伴奏はクルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。

 ヴェンゲーロフを聴くのは初めて。ヴェンゲーロフは1974年生まれなので20歳前後の録音。

ちなみにこのヴァイオリニストは、肩の故障で2008~2011年にかけて、活動を停止していたらしい。

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線の太いシットリ系美音が一貫している。

この協奏曲はそんなに大規模ではないけれど、曲想は力強い。このくらい線が太い方が、しっくりとくる。

表現としてはいたって中庸。高度で安定した技術と、線の太い美音で、ストレートに聴き手に迫ってくる。激しい表現とかはないけれど、濃く太い響きを繰り出し続ける腰の強さを感じさせる。

ただ、この協奏曲ならではの楽しみは弱いかも。
この協奏曲は、同じ音源に収録されているメンデルスゾーンの協奏曲あたりと比べると、中身が薄い。できれば、そこのところを演奏者に補強してほしいところなのだけど、 その種のあざとい演出はない。良くも悪くもストレート。地力でグイグイと迫ってくるやり方。

結果として、 ヴェンゲーロフの表現力を堪能したけれど、楽曲を満喫した手ごたえはほどほど。

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マズアは、いかめしい風貌だけど、その音楽は平明。メインのフレーズを前面に出して、いたってシンプルな流れを作り出す。そして、その流れを豊かな響きで彩る。
管弦楽のみの楽曲だと、わかりやすい反面、平板に感じさせられることが多々ある。

この音源では、 ヴェンゲーロフが音楽に芯を通しているから、そうした不満はなく、むしろマズアのうまさを意識させられた。

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