バリリ四重奏団によるベートーヴェン弦楽四重奏曲第15番

好感度 ■■■■■
1956年のセッション録音。1952〜1956年に録音された全集から。
バリリ四重奏団は、1945〜1959年にウィーンを拠点に活動。メンバーは、当時のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の主要メンバーだったらしい。
古いモノラル録音ながら、音質は驚くほどにクリア。
::::::::::
美音でしなやかに歌う第一ヴァイオリンが、音頭を取っているようだけど、4パートがバランス良く親密なアンサンブルを繰り広げている。
程よく粘るしなやかなフレージングと、艷やかで潤いある響きの組み合わせで、心地よい歌いっぷり。
造形は端整できっちりしているけど、彫りは浅めなので、スムーズな横の流れが際立つ。
流麗でありながら、気分に流されない節度がある。品が良い。
長大な第三楽章演奏時間に差が出やすい楽章だけど、17分弱という標準〜やや速めのテンポ。締りのあるアンサンブルだけど、流麗に手際よく演奏されている。
美音と親密なアンサンブル、そしてツボを押さえた歌心が素晴らしい。気持ちよく楽曲に浸れる。
::::::::::
場面に応じて、前に出るパートと、それを背後で支えるパートの、役割分担とかその切り替えがハッキリしている。メインのフレーズが際立つように、響きが注意深く整理されている。
そのため、場面ごとの表情がくっきりとわかりやすくて、音楽がスンナリ入ってくる。
ただし、音楽がフレーズの流れに沿って二次元的に整理されていて、耳当たり良くマルめてしまっているようにも聴こえる。
わかりやすさの代償に、音楽が少々軽く薄くなっている。
コメント
コメントを投稿