パッパーノによるサン=サーンス交響曲第3番『オルガン付き』


好感度 ■■

アントニオ・パッパーノ指揮、ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団の演奏。オルガンはダニエレ・ロッシ。
2016年のライブ録音。

パッパーノは、1959年イギリス出身の指揮者。両親はイタリア人。
2005年より、ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団の音楽監督。

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減点法で判定すると、粗の少ない優等生な演奏。

パッパーノの描き出す作品像は、手堅くて確実。程よいテンポの設定だし、合奏を細かく掌握しながら、集合体としての迫力あるサウンドも聴かせる。

質の高い演奏だけど、音楽として雄弁とまでは言えない。硬軟で言うと、特に軟系統の表現力が味気ない。
たとえば、第一部後半とか、第二部の前半から後半への移行の場面とか、表情に硬さがある。浮遊感とか、崇高さとか、柔らかく光が差し込むイメージとか、何にせよ聴き手のイマジネーションを掻き立てるだけの力を感じない。
かと言って、その種の効果を意図的に排除しているようなも聴こえないし。

もともと派手な演奏効果に傾斜している楽曲だけに、柔かい場面で香り立つような表現をやってくれないと、曲全体の印象が安くなってしまう。

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オーケストラは、暗めのトーンながら色彩感は豊か。そして、この交響曲を聴かせるだけの技量は感じられる。

とは言え、合奏能力で圧倒するほどキレてるわけではなく、語り口を楽しめるほど表現力豊かでもない。

これまでに蓄積された音源と聴き比べると、いささか地味。

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