アマデウス四重奏団によるベートーヴェン弦楽四重奏曲第15番

好感度 ■■■■■
1962年のセッション録音。全集から。
同四重奏団は、1948年にイギリスで結成されたものの、メンバーのうち3人はオーストリアやドイツ出身のユダヤ系。
1987年に解散した。
1958〜63年に全集をDGに録音。
他に、1950〜1967年に放送局に残された、10番以外の録音の集成が流通している。
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個々のパートの線が強めで、かつ語尾に力を込めるような歌い回し。楽曲を情熱的に、力強く表現している。
といっても、入れ込んで熱くなっているのではなく、統制のもとに、楽曲をそのような音楽と捉え、表現している感じ。
端整な質感はないけれど、勢いが余ったり、乱れることはない。サウンドは適度に艷がある。表現のバランスに、それなりに配慮されている模様。
音を合わせることを優先したら、かなりの精度で合奏できそうだけど、それは彼らの目指す方向ではないのだろう。
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とは言え、彼らがこの曲に持ち込んだアグレッシブなタッチは、あちこちで恣意的に響く。逆に言うと、曲調の推移に素直に反応できていないように聴こえる。
たとえば、第一楽章や終楽章での力みっぷりは不自然に感じられて、聴いていて同調できない。活気があるとか、ハツラツとしているのではなく、イキっている感触。
第三楽章は、押しの一手で音楽を無骨に響かせる。一本調子というほどではないけれど、息遣いを操って多彩な表情を作り出す、みたいな感じではない。
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