カラヤンによるブルックナー交響曲第5番(1954)

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン交響楽団。1954年のライブ録音。

カラヤンは、1948年から1960年にかけて、このオーケストラを率いていた。その時期の演奏。

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焦らず急がずの、堂々として安定した足取り。当時カラヤンは40代半ばだけど、若々しく颯爽とした感じではなく、大柄でカッチリとした造形を志向している様子。
とは言え、老巨匠の重厚感とは別種の感触。正確なコントロールと、流麗なフォルムとか透明度の高い響き故か。

各パートは軽い音の出し方。透明度が高くてしなやか。個々のパートの輪郭は、金管以外はあいまい。個々のパートを浮き彫りにするより、一体感のある響きを優先している。
程良くボリューム感があって、流麗な流れを形作っている。

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演奏スタイルとしての洗練度は高い。
ただし、このやり方だと、響きとしては綺麗だけど、表情の彫は浅くなるし、陰影も乏しくなる。音楽の全体的な流れはわかりやすいけれど、瞬間瞬間の密度は薄くなる。

サウンドの感覚的な美しさや耳当たりの良さで、長時間集中できる聴き手なら楽しめるかもしれないが、個人的には単調さを覚える。
これで、目くるめくような小気味よい推進力があれば別だろうけど、あいにくの落ち着いたテンポ。

おまけに、古いモノラル録音のために、サウンドの美しさは大きく減殺されているし。

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