ヨッフムによるブルックナー交響曲第5番(1958)

オイゲン・ヨッフム指揮、バイエルン放送交響楽団。

1958年のセッション録音。
空間の広がりは乏しいけれど、鮮明で厚みのある音質。

ヨッフム(1902~1987年)は、1949~1960年の間、バイエルン放送交響楽団の首席指揮者を務めた。その在任期間中の録音。

この指揮者による、この交響曲の録音は多数あって、全貌を把握できていない。

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ヨッフムの耳の良さと、オーケストラから多彩でくっきりした表情を引き出す能力には、常々感心している。この方面で、ヨッフムと肩を並べられるドイツ系指揮者は、そんなにはいないと思う。
この音源でも、そのあたりは発揮されている。

低音厚めのサウンドバランスで、華やかというのではないけれど、全体通して、明朗で、張りと厚みがあるサウンド。
耳を傾けると、個々のパートの表情は明瞭で冴え冴えとしている。それらによるアンサンブルも、精妙と言える水準でコントロールされている。

力強い場面から繊細な場面に至るまで、音楽の表情はバッチリ決まっていて、うまみがある。

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ただし、これはわたしだけかもしれないが、テンポ感がしっくりこない。

この演奏では、大きくテンポが動くことはないけれど、聴かせどころでときどき作品書法を際立たせるかのようにテンポを落とす。

テンポを落とすこと自体に抵抗感はないけれど、単に歩幅を広くしただけで、息遣いの変化が感じられない。深く大きな息遣いがもたらす気宇の広がり、みたいな効果は感じられない。

そのあたりは、あんまり上手ではないように感じた。

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