クナッパーツブッシュによるブルックナー交響曲第5番(1956)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
1956年のセッション録音。古いけれど、ちゃんとしたステレオ。
シャルク改訂版による演奏。終楽章を中心に、他の版との違いが大きい。シャルク改訂版に対して、拒否反応が出る危険あり。
テンポの設定は、やや速め~標準くらいで、安定した足取り。浅くもなく深くもない呼吸感。
アンサンブルをコントロールして、作品書法を明解に聴かせようとする意識が強い。没入とか陶酔とか燃焼とかとは縁遠い感触。ドラマティックでも濃厚でもない。
各パートが明瞭に分離していて、それぞれの動きや絡み合いがくっきりと聴こえてくる。
アンサンブルは端整で明解だけど、整った美しさを追求しているわけではない。個々のパートの歌は陰影豊か。それらが集積されて、ロマンティックな絵巻物に仕上がっている。
そして、オーケストラの奏者たちのコクのある歌が、大いにプラスに作用している。何かしら、美意識を共有しているオーケストラとでないと、こういう演奏は難しそう。
テクニカルな精度とか完成度はほどほどなので、スタイリッシュな意味での洗練度は、そこそこの水準。
クナッパーツブッシュは、スタイリッシュ系指揮者がやりがちな、安易な表現のパターン化をやらない。あちこちに出てくる金管のファンファーレにしても、その一つ一つのニュアンスが細かく描き分けている。
そういう意味の密度が、この演奏の聴き所。
全曲締めくくりでは、オーケストラを開放的に響かせながら、多声の複雑な交錯が明解に、スリリングに描き出されていて見事。この指揮者の、オーケストラを統率する力量を見せつけられる。
1956年のセッション録音。古いけれど、ちゃんとしたステレオ。
シャルク改訂版による演奏。終楽章を中心に、他の版との違いが大きい。シャルク改訂版に対して、拒否反応が出る危険あり。
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テンポの設定は、やや速め~標準くらいで、安定した足取り。浅くもなく深くもない呼吸感。
アンサンブルをコントロールして、作品書法を明解に聴かせようとする意識が強い。没入とか陶酔とか燃焼とかとは縁遠い感触。ドラマティックでも濃厚でもない。
各パートが明瞭に分離していて、それぞれの動きや絡み合いがくっきりと聴こえてくる。
アンサンブルは端整で明解だけど、整った美しさを追求しているわけではない。個々のパートの歌は陰影豊か。それらが集積されて、ロマンティックな絵巻物に仕上がっている。
そして、オーケストラの奏者たちのコクのある歌が、大いにプラスに作用している。何かしら、美意識を共有しているオーケストラとでないと、こういう演奏は難しそう。
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テクニカルな精度とか完成度はほどほどなので、スタイリッシュな意味での洗練度は、そこそこの水準。
クナッパーツブッシュは、スタイリッシュ系指揮者がやりがちな、安易な表現のパターン化をやらない。あちこちに出てくる金管のファンファーレにしても、その一つ一つのニュアンスが細かく描き分けている。
そういう意味の密度が、この演奏の聴き所。
全曲締めくくりでは、オーケストラを開放的に響かせながら、多声の複雑な交錯が明解に、スリリングに描き出されていて見事。この指揮者の、オーケストラを統率する力量を見せつけられる。
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