ワイセンベルクによるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番

アレクシス・ワイセンベルクのピアノ、ジョルジュ・プレートル指揮シカゴ交響楽団。1968年のセッション録音。

メジャーレーベルによる60年代後半の録音にしては音が悪い。ただ、ワイセンベルクがやっていることはクッキリと聴こえてくる。

ワイセンベルクは、1979年にこの曲を、バーンスタインと再録音している。

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ワイセンベルクのピアノは、タッチのニュアンスは細やかだし、息遣いも伝わってくる。彼自身の感性を色濃く映し出しているし、楽曲の抒情性に光を当てている。

その一方、響きは硬質で輪郭がクッキリ。重い音でこそないけれど強固。
そして、高精度で強靭な指の動きやタッチのコントロールに圧倒される。
アクロバティックな指の動きだけど、軽やかさは感じない。一途で強靭。

この抒情性と強靭さが、調和しているというより、せめぎ合っている感じ。ときに抒情性が上回るけれど、次の瞬間には強靭さがそれを振り払う、みたいなせめぎ合いが繰り返される。

両端楽章はそういうところが面白くもあるけれど、第2楽章あたりは、抒情的な感性とメカニカルな強さ・キレが喧嘩しているようにも聴こえる。

どこか異形ではあるし、好んで聴くものではないけれど、この協奏曲の特別な演奏の一つ。

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ピアノ重視の録音のせいだろうが、管弦楽は広がりが乏しく後方に聴こえる。露骨にピアノが主役の、音の録り方。

こういう扱いなので、プレートルの演奏について、とやかく言える感じではない。

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