サカリ・オラモによるシベリウス交響曲第7番

サカリ・オラモ指揮バーミンガム市管弦楽団。2003年のセッション録音。

このコンビで2000~2003年に交響曲全集を完成している。

オラモは1965年生まれのフィンランド出身の指揮者で、ラトルの後を継いで、1998-2008年の間、このオーケストラの音楽監督を務めたようだ。
この録音は、ちょうど真ん中の時期にあたる。

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アンサンブルは端整かつシャープだけど、しっとりとほのかに湿り気を帯びた、広がりのあるサウンドで、耳のあたりの心地よい。

湿り気を感じるのは、ごく主観的な受け止め方に過ぎないけれど、要はサウンドに明確な質感が表れている。
この指揮者は、オーケストラの響きを磨けるだけの、耳と腕の持ち主ということだ。

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整った造形をベースにして、調和がとれていて、色合いの変化がわかりやすい響かせ方をする。
尖がったところのない、まっとうな作品像が提示される。

明解さとか精度に重きが置かれている。
軽やかかつしなやかなアンサンブルとか、広がりのあるサウンドの作り方は、シベリウスの作風と親和性が高く聴こえる。
でも、ローカルな味わいで聴かせるアプローチではない。楽曲との一定の距離を保って、理知的に面している。

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呼吸を一定の調子に保つ傾向があって、そのぶん曲調の微妙な変化は際立たない。
"息遣い"のような感覚は弱く、基調としては淡々としている。

ただし、曲調の節目節目では、テンポとか呼吸の深さが切りかえられる。また、響きの色合いは細かく描き分けられている。
単調というのではない。

オラモの描き出すこの曲のイメージは、練られた独特の書法で書き上げられた、渋くてコンパクトな交響曲という、外形的な特徴そのまんま。
コンパクトな造形に、濃密で壮大なドラマが凝縮されている、みたいな感覚は乏しい。

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