チョン・ミョンフンによるサン=サーンス交響曲第3番『オルガン付』(2016)

チョン・ミョンフン指揮、ソウル・フィルハーモニー管弦楽団。
2016年のライブ録音。大型クラシック専用公演場"ロッテコンサートホール"の、開館記念公演を収録。

彼は、同オーケストラの音楽監督を、2005~2015年にかけて務めた。
後味の悪い辞め方をしたようだけど・・・

なお、チョン・ミョンフンは、1991年にパリ・バスティーユ管弦楽団と同曲を録音している。
ちなみに、演奏時間を比べると、第二楽章後半はほとんど同じで、それ以外は新録音の方が短くなっている。

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演奏のスタンスは、パリ・バスティーユ管弦楽団との音源に近いけれど、残念ながらそれより聴き劣りする。

新旧録音ともに、ホールの響きをふんだんに取り入れた録音だけど、旧録音の方は、アンサンブル自体にキレが感じられたし、明るい色彩感が気持ち良かった。

新録音の方は、オーケストラの持ち味なのか、ホールの特性なのか、艶とか色彩感が乏しく、キレもいま一つ。
よく言えばウォームな響きだけど、輪郭のあいまいな単彩なサウンドに終始している。

フレーズの処理も、旧録音の方が呼吸感があって、すんなりと入ってくる。それに比べて、新録音は淡白。

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というように、新しいライブ録音の方は、旧録音と比べると、心ひかれる要素は少ない。

ただ、チョン・ミョンフンの名を損なうような出来かというと、そんなことはなく、生で聴いたらそれなりに満喫できただろう。オーケストラも危なげない。

そもそもこの音源は、イベントの記録であって、チョン・ミョンフンが新たに作品像を世に問う、みたいな位置づけではないのだろうし。

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