カラヤンによるサン=サーンス交響曲第3番『オルガン付』

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。
1981年のセッション録音。同曲の、カラヤン唯一の録音盤。

なお、オルガンはパリのノートル=ダム大寺院にて別録音したものを、合成しているらしい。

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安定したリズムの上に音楽を構築していく手並みに、独墺系の演奏っぽさを漂わせるものの、豊麗で透明度の高いサウンドが、すっかり中和している。
結果的には、堂々としたスケール大きな演奏、という手ごたえ。

広々とした空間に、量感たっぷりに響かせながら、そのニュアンスとか色調を、完全にコントロールしている。

各パートは、ソフトフォーカス気味にたっぷりと鳴らされるけど、それぞれの輪郭とか純度は保たれていて、場面場面の表情を、わかりやすく決めてくる。
 かつ、それらが一体となって、豊麗なサウンドを生み出されていく。

オーケストラを響かせることについての、この指揮者の屈指の力量を見せつけられる気がする。

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カラヤンは、楽曲の構造とか書法を、いたって素直に扱っている。
場面によっては、パート間のバランスに工夫を感じるけれど、特異なことはやっていない。

それと対照的に、音響へのこだわりを強烈に感じさせる。
良くも悪くもカラヤンの美学が徹底され、磨き上げられている。

その結果生み出される、終始たっぷりとしている響きや、粘りのあるリズムと歌い回しが、濃厚な味わいをもたらしており、いささかしつこくはある。

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