デュトワによるサン=サーンス交響曲第3番『オルガン付』

シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団。
1982年のセッション録音。

デュトワは、同オーケストラの音楽監督に1977年に就任。
1980年代に入って、DECCAから次々と音盤をリリース。
その中では、わりと初期の頃の録音。

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このコンビの一連の録音は、その一部しか聴いていないけれど、デュトワの、響きに関する鋭敏な感性と、アンサンブルへの美意識が、インパクトとして強い。
 おまけに、録音も優秀でセンスが良い。

オーケストラは、軽い音の出し方で、しっとりとした質感のサウンド。色彩的だけど、華やかというのではなく、落ち着いた上品な色調。

アンサンブルは、肌理がそろっていて、軽快かつ反応が良い。

力感とかスケール感は控えめだけど、そっちを向いた演奏でないことは明白。
軽やかで洗練された所作と、上品で耳のあたりが良い響きが、何よりも優先されている。
これだけ徹底的かつ見事にやっているのだから、無いものねだりは野暮というもの。

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もともと洗練度の高いサン=サーンスの書法を、デュトワのセンスと技でいっそう磨き上げて、聴かせる。

そういう意味で、作品の持ち味を引き出しているけれど、だからと言って、その持ち味のすべてに光を当てているわけではない。他の演奏にあって、この演奏にないものは、少なからずあるから。

やっていることについては、他を寄せ付けないレベルに洗練されているけれど、楽曲を自分の型にはめ込んでいる。そして、その型のキャパは、そんなに大きくないようだ。

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