スヴェトラーノフによるサン=サーンス交響曲第3番『オルガン付』

エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ソ連国立交響楽団。
1982年のセッション録音。

スヴェトラーノフの同曲の録音としては、スウェーデン放送交響楽団との1998年のライブ録音があるようだ。

残響過多な録音。オーケストラのやっていることは聞き取れるから、鑑賞にはさしつかえないけれど。

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とりあえず、終始音響の濁りがある。
録音の影響はありそうだけど、演奏にも原因がありそう。

オーケストラの各パートのバランスは整っているけれど、全体としての響きの質感は制御されていない感じ。そういう点で、演奏のクォリティとして、一段落ちる印象。

この曲のような、巨大な音響をもたらす音楽では、気になってしまう。

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オーケストラの音の出し方は軽くて、各パートの細かな動きが浮き彫りになっている。

ただし、対位法的な立体感とか奥行き感とかは無い。それぞれのパートが、平面的に並置されているイメージ。
音響としての量感はあるから、平板には聴こえないけれど、作品書法が他の演奏より武骨に聴こえる。

各パートを並置してそれぞれを浮き彫りにしつつ、たっぷりと響かせているから、テンポは全体的に遅くなり、雄大な仕上がりになっている。
この演奏なりに、意味のあるテンポであり、スケール感ではある。

作品書法の捉え方が、根本的なところで他と違っているので、まったく個性的。

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第二楽章後半の、木管が美しくたなびくところで、ハープを加筆している(たぶん)。気持ちはわかるけれど、どこか泥臭い。
スヴェトラーノフの感性が、サン=サーンスの洗練と融和しているようには聴こえない。

しかし、スヴェトラーノフがこの曲に愛着をもって演奏しているらしいことは伝わってくる。

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