バレンボイムによるサン=サーンス交響曲第3番『オルガン付』

ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団。1975年のセッション録音。

ちなみに、バレンボイムは、1991~2006年にかけて、シカゴ交響楽団の音楽監督を務めた。
この音源は、それよりかなり前の、バレンポイム33歳のときの録音。

オーケストラとオルガンが、別の機会に、別の場所で録音されて、合成されている。
スピーカー越しに聴くと、合成のキズ痕は意識されないが、遠近に少し違和感を感じる。一方、ヘッドホンで聴くと、部分的に、音場の不自然さを意識させられる。

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この音源の主役は、シカゴ交響楽団と、録音スタッフだろう。

軽い音の出し方、明るく色彩的な響き、畳みかけるテンポ感、切れ味抜群の精緻かつ機能的なアンサンブル。音楽監督ショルティ、首席客演指揮者ジュリーニという時代の、シカゴ交響楽団の圧倒的な性能を実感できる。

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一方、バレンボイムの存在感はそんなに大きくは感じられない。
軽い音出しやすっきりと明るい響き、流れるようなスムーズな進行は、バレンボイムの意志だと思われるけど、それ以上の踏み込みは感じ取れない。

大枠の方針を決めたら、後はオーケストラを統率し、制御することに専心している感じ。


そして、高いレベルでやり遂げているけれど、指揮者本人の曲への思い入れみたいなものは感じられない。
しかし、後年のバレンボイムの芸風にシンパシーがないので、残念なような、残念ではないような・・・

いずれにしても、もっぱら音響美・機能美を楽しむ演奏で、この交響曲の描き方としては"あり"だろう。

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第二楽章後半のような多様で目まぐるしく変化する音楽では、あっさり風味。曲自体の面白さより、オーケストラの性能の高さが先に立つ印象。

一方、第一楽章後半の、いい意味で混じりけの無い、澄み渡るような表現・響きは好ましい。

 オーケストラの響きは、フォーカスがシャープな点で、本場フランス風とは言いにくいものの、明るく軽快なところは、曲想に合っていて好ましい。

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